みなさん、「白夜」はなんとなくご存じなのではないでしょうか。
以前本コラムでもご紹介しましたが、
白夜とは真夜中でも夜になりきらず薄暗いか、または太陽が沈まない現象のことを言います。
北極圏付近や南極圏付近で見られる現象で、北極圏付近では夏至前後、南極圏付近では冬至前後に見られます。
つまり、一言で言えば
夜でも太陽は沈まず、明るく、夜ではないということ。
そんな季節が、北極圏グリーンランドにもやってきます。
時期としては、5月～7月。まさにこれからの季節が、グリーンランドの白夜を体験できる時期ということですね。
グリーンランドでは別名「ミッドナイトサン」と言われる白夜、太陽が沈まないなんて、かなり神秘的な現象です。
しかし、神秘的でいうのなら「極夜（きょくや）」はもっと負けていないかもしれません。
日本に住んでいると、夜のない世界なんてにわかには考えられないですよね。でも、世界は広い。
そんな地域もあるのです。
ということは、逆の「昼のない世界」があったって、なんら不思議ではないのです。
そう、今日はグリーンランドのもう一つの奇跡、「極夜」についてご紹介します。
極夜とは
冒頭の文で、きっと想像がついたはず。
そう、極夜とは日中でも薄暗い、もしくは太陽が沈んだ状態が続く現象のことを言います。こちらも白夜と同じく北極圏付近や南極圏付近で見られる現象です。
白夜と真逆の現象ということは、つまり
昼でも太陽は上がらず、夜の状態だということ。
そもそもどうしてこんなことが起こるのか。
白夜にしても極夜にしても、一定期間ずっと明るい、ずっと薄暗いなど生活していけるのだろうか？
そう思われた方、いらっしゃるのではないでしょうか。でも不思議なことに、人間の適応能力は想像以上にすごい。白夜と極夜の現象が起こる地域でも、人は心豊かに毎日を送っているのです。
話は少し逸れてしまいましたが、そもそもどうしてこんなことが起こるのでしょうか。
白夜と極夜、この2つの現象が起こる理由は……。
ずばり、「地球の約23.4度傾いた地軸」が影響しているのです。さらにもう少し言えば、「各極地の近くは、太陽に対する位置が自転してもあまり変わらないから」と言えます。
これらによって一日中明るい白夜と、一日中暗い極夜を作りだします。
例えばもし、この地軸がまっすぐだった場合、世界に四季は存在しません。
当然、日本にも四季はなくなり、一年を通して春や秋のような季節が続くことになるでしょう。地軸が世界の国や環境に与える影響って、実はすさまじい威力があることを改めて感じます。
極夜はいつ起こる？
南極圏では夏至前後、北極圏では冬至前後に極夜は起こります。グリーンランドは北極圏なので、冬至前後ということになります。当たり前ですが、グリーンランドが白夜の頃、南極は極夜に・グリーンランドが極夜の頃、南極は白夜の現象が見られます。
北極と南極、どちらも氷に覆われた世界ですが、現象が起こる季節は真逆なんですね。
極夜が起こる期間の長さは緯度によって異なり、高緯度になるにつれて期間は長くなっていきます。グリーンランドは11月下旬から1月下旬までの2ヵ月間くらい。
オーロラを見るなら極夜の時期に。
極夜の季節、人々は体内のリズムを狂わせないよう、規則正しい生活を特に心がけると言います。
白夜やその他の季節に比べると、家で過ごす時間は必然的に多くなりますが、ふと外をのぞけば……
そこには、妖麗に舞うオーロラが。
極夜の季節は、他の時期に比べオーロラが一層美しく見える季節なのです。
前回、オーロラにまつわる伝説をご紹介しましたが、極夜にオーロラというのも更に神秘さを増幅させますね。
もし、本当に美しいオーロラを見たいと願うのなら、クリスマスからお正月と長期休暇を利用できる、極夜の季節にグリーンランドを訪れてみてはいかがでしょうか。
Happy New Year! と同時にオーロラが見られたら！ と考えるだけでテンションが上がってしまいます。
ただし、防寒対策は忘れずに！
白夜と極夜。
どちらも一度は味わってみたいものです。
