環境汚染、地球温暖化。
あまりにもよく耳にするこの言葉たちですが、私たちは普段どれだけ環境のことを考えて暮らしているでしょうか? それは、今この文を書いている私にもあてはまります。どこか少し、他人事なんですよね。
でも、日本に住んでいても動物園で見ることのできるホッキョクグマという身近な存在が「私たちがしてきたことの結果によって絶滅しかけている」としたら……?
ホッキョクグマがさらされている厳しい現実に目を向けることが、私たちの生活を見直すきっかけになれれば幸いです。
【温暖化が氷を溶かす】
そもそも、なぜ地球は温暖化になっているのかはご存知ですか? それは、私たち人間が化石燃料を燃やすことで発生する「温室効果ガス」が引き起こしているのです。
地球温暖化によってグリーンランドを含む北極海の水温・気温が上昇してしまった結果は、四季にも影響を及ぼしています。具体的に言うと、冬が短くなり春の訪れは早く、そして秋が長く続くのです。この変化は体感的に、私たちも感じているはず。
冬の期間が短くなるということは、海に浮かぶ氷が溶けてしまい、なかなか凍らないという状態になっているということ。
さらに北極海では、地球全体の温暖化と比べその倍のスピードで温暖化が進んでいると言われています。
【海水になった氷が、温暖化を加速させる】
氷には、太陽の光を跳ね返すという性質があります。対して海水は、太陽の熱を吸収するという性質が。
氷が溶けて海水が増えると、太陽の熱を吸収するパーセンテージが自ずと上がってしまい、地球温暖化を加速させるという、なんとも不条理な結果になってしまっているのです。
【氷とホッキョクグマの密接な関係】
どうして氷が溶けると、ホッキョクグマにとって不都合なのか。それはホッキョクグマの生態に大きく関係しています。
その1:ホッキョクグマの生活拠点は「氷上」
泳ぎが得意で知られるホッキョクグマも、さすがに生活の拠点は海ではなく、氷上です。その生活拠点が年々溶けていってるなんて、ホッキョクグマからしたら恐怖以外のなにものでもありません。
さらに生活拠点が氷上ということは、オスとメスが出会い、繁殖活動を行うのも氷上です。赤ちゃんを産む環境自体が失われつつあるのです。
その2:狩りが出来ない
食糧となるアザラシを捕まえる際、ホッキョクグマは海の中から上がってきたところを待ち伏せして襲ったり、氷の下を泳いでいるところを嗅覚で嗅ぎ付け氷を破って襲ったりします。この2つの方法に出てくる狩りの仕方には、どちらも氷が不可欠です。
氷があることで自分の存在を隠し、狩りを行えるのです。その氷がなかったなら、アザラシはいとも簡単に敵であるホッキョクグマの存在を知り得てしまうことでしょう。
その3:氷のない期間が長くなる=死活問題
ホッキョクグマは、氷が溶ける温かい時期になると陸地に上がって過ごします。その間食糧はほとんど取りません。蓄えた脂肪を少しずつ消化しながら、再び海に氷が張るのをひたすら待ち続けるのです。
問題は、温暖化によりこの温かい季節がどんどん長期化していっているという点。つまり、食糧を食べずにいる期間が長引くということ。それはホッキョクグマにとって、「死」を意味しているのです。
【生き残りをかけて】
このまま地球温暖化がすすんでいくと、21世紀半ばにはホッキョクグマの生息数は今の3分の1になると予測されています。このままただ淡々と時間だけが過ぎていった場合、「ホッキョクグマ」が過去の動物となる日はそう遠くはないのです。
この事実を今、あなたはどう捉えますか? 自分一人が出来ることは本当に微力です。でも、その微力な力も続けていくことで、みんながすることで、今より必ずいい方向へと向くはず。
ホッキョクグマの命のバトンを、少しでも長く。
そう願ってやまないのです。
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