前回、ホッキョクグマの基本的な生態についてご紹介しました。
前回の最後にお話しした「ホッキョクグマ」の共食いについて……
これは、本当のことなんです。
本日は、もう少しぐっと奥に踏み込んだホッキョクグマのあんなことやこんなこと。
ホッキョクグマの生態を知った上で、今この瞬間も進んでいる環境破壊についてふれていきたいと思います。
●どのくらいの体長? どのくらいの重さ?
オスのホッキョクグマは体長250~300cm、体重300~800kg
メスのホッキョクグマは体長200~250cm、体重150~300kg
と、最大3mもの大きさに成長します。
過去アラスカでは、なんと体長約3.4m、体重約1000kgのホッキョクグマが確認されています。
●何年生きるの?
野生のホッキョクグマの寿命は、およそ30年と言われています。
しかし、食糧に困らない動物園で生きた場合、上野動物園では36年、カナダのウィニペグ動物園では42年生きた実例があります。大きいからといって長く生きるというわけではないのですね。
●ヒグマとホッキョクグマの祖先は同じ!
なんと、ヒグマとホッキョクグマの祖先は同じなんです。そのため、現在でもヒグマとホッキョクグマは交配することが可能。この2種が交配して生まれたクマは、ヒグマの身体的特徴にホッキョクグマのような白い体毛をしており、実際に確認もされています。
●ホッキョクグマも冬眠する?
他のクマと同じようにホッキョクグマも冬眠するのかと思いきや。ホッキョクグマは、基本冬眠はしません。
●出産と厳しい現実
前述の通りホッキョクグマは冬眠はしませんが、メスは出産時のみ、巣穴を掘ってその中で子供を産みます。
1度の出産で1~4匹の赤ちゃんを産み、その後2~3年は授乳しながら一緒に過ごします。また、毎年出産するホッキョクグマは極めて珍しく、多くの場合は2~4年の間をあけて出産します。
そして悲しいことに、産まれたホッキョクグマの赤ちゃんが1年以内に死亡する確率は50パーセント。この数字は、2匹に1匹の割合で亡くなるという厳しい現実を物語っています。子供のホッキョクグマを襲う動物は、ワシやタカなどの猛禽類、ホッキョクギツネ、そして……同じホッキョクグマのオスなど。そう、ホッキョクグマは、共食いをするのです。
●飢えからくる共食いの実態
ホッキョクグマが共食いをすることって、実は意外と知られていない事実のような気がします。
オスのホッキョクグマは、餌が不足すると飢えから自分の身を守るため、ホッキョクグマの子供を襲って食べることが分かっています。過去には、妊娠中のメスを襲って食べたという報告も。
その為、メスの母グマは子供が大きくなる2~3年の間、オスのホッキョクグマに対してかなり警戒し子育てをします。
●ホッキョクグマの天敵
実は、ホッキョクグマは肉食獣最強とも言われる動物でもあります。
体の大きさと力の強さ、そして1日70㎞も移動することのできる身体能力の高さは他の動物に類をみないほど。
そんなホッキョクグマにも、天敵はいます。それは、海獣シャチと、私たち人間です。
陸や氷の上では向かうところ敵なしのホッキョクグマも、海中ではそうはいきません。
ホッキョクグマの数倍の重さを誇り、海中を自由に動き回るシャチ。
強い顎の力と50本ちかくある鋭い歯をもつ彼らに襲われれば、さすがのホッキョクグマでも太刀打ちできません。
しかし、陸や氷の上にいれば安全なのですから、シャチに襲われることは本来、稀なケースと言えます。
それが近年、地球温暖化によってその状況が変わってきています。
氷が溶けたことで、ホッキョクグマが暮らす氷上面積が減少。
それに伴いホッキョクグマが海中を泳ぐ距離が長くなってしまい、シャチに襲われる可能性も高くなってきているのです。
そして、氷面積の減少の原因となる地球温暖化をおしすすめてきたのは、紛れもない私たち人間です。
人間はさらに、毛皮や肉を目当てに狩りを行うことも。
絶滅危惧種に認定されているホッキョクグマ。
その背景には、人間が引き起こしてしまった地球温暖化の影響が色濃く存在しています。
関係ないと一蹴してしまうのは簡単です。
でも、今少しだけ、立ち止まってみてくれませんか?
次回、温暖化によって危機にさらされているホッキョクグマの真実をお伝え致します。
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