私たち人間の歴史は、遥か昔、海から始まったと言われています。
想像も超えるほどの長い時間をかけて、海から陸へとやってきた、私たちの祖先。
海での暮らしは、どんなものだったのでしょう。
ヒトが、陸を拠点に生活し始めてからも、海の存在は絶大なるものでした。
陸にいながら、海とともに。
その根底は、今を生きる私たちにも息づいているはず。
グリーンランドの氷河や氷山を目の当たりにした時に、人間が抱く安心感。
それはきっと、海で生きてきたあの頃の、海と共に生きてきた私たちの記憶。
そんな古い記憶が、無意識に呼び起されるからなのかもしれません。
海、そして氷。
海と氷に囲まれた、グリーンランド。
今日はグリーンランドが誇る【氷】について。さぁ奥深くまで、のぞいてみましょう。
●氷河はどんなふうに形成されるのか
グリーンランドは氷の島。美しい氷山や、流れる氷河を思う存分味わい尽くすことができる、世界でも有数の土地です。
氷河と聞くと聞きなれませんが、「流氷」と聞くといかがでしょう。水面を漂流する氷のことをさすこの言葉、その中には、氷河も含まれます。
私の知り合いに、北海道網走で生まれ育った方がいます。
毎年毎年、海岸に流れ着く流氷に乗って遊んでいたのだそう。
グリーンランドの氷河や氷山も、現地の方にとってはそんな身近な存在なのかもしれません。
白く美しく、巨大でありながら、威圧的では決してない。
そんな彼らはどのようにして作られるのかというと・・・・・・。
【氷河の場合】
雪が溶けきる前に、更にどんどん振り続けると、雪自身の重さで下部が圧縮されていきます。その結果、上部は雪、下部が氷という状態に。そして、氷がさらに厚くなり、その限界を超えると、ついには横にむかって氷が流れ始めます。川のように、氷が流れる状態のことを、氷河と呼びます。
なんと、氷河の厚さは最高レベルだと3000メートルを超えるんだとか。
【氷山の場合】
元々、氷山は氷河なんです! 実は、氷山が崩れ落ちたもの氷河だというイメージだったのですが、見事に真逆でした(苦笑)
流れてくる氷河から落ちた氷が、氷山。また、氷山は浮力の関係上、約90%の氷山が海に沈んでいるそう。ということは、私たちが見ている氷山は、わずか10%。写真をご覧いただけるとよく分かるかと思いますが、この大きさでたった10%?と驚きを隠せません。
氷河って、氷山って。私が思うよりもずっと遥かにスケールが大きいものだったようです。
●絶景とはまさにこのこと。世界遺産のアイスフィヨルド
グリーンランドのイルリサットにある「アイスフィヨルド」。このアイスフィヨルドが、2004年に世界遺産に登録されました。
世界遺産というだけあって、まさに超絶景。写真でも、その壮大さ、美しさに圧倒されるほど。
「イルリサット」、この名前は、グリーンランド語で「氷山」という意味。偶然ではありますが、名にふさわしい称号を与えられた結果になったのですね。
●フィヨルドとアイスフィヨルド
フィヨルドとは、氷河期に氷で覆われていた地表が、氷河期の終わりとともに溶けた氷河によって谷が削られ、複雑に入り組んだ形になった地形のことを言います。
イルリサットのフィヨルドは、まさに、湾全体が氷山で覆われているため、アイスフィヨルドと呼ばれるようになりました。
●あのタイタニックの氷山も、イルリサットから?
最後に少しだけ余談を。
あのタイタニック号と衝突した氷山。映画を観たことがある方なら「あぁ!」となるはず。絶対に沈没しないと謳われていたタイタニック号。たかが氷山とはもう言えません。沈没のきっかけとなった氷山ですが、実はその氷山も、このイルリサットから大西洋へ流れ出たと言われています。
写真だけでも、スケール感の大きさに圧巻される、グリーンランドの氷河・氷山。
威厳と優しさを併せ持つ不思議な魅力に、思わず吸い込まれそうになります。
人口的な美しさももちろん、美しい。
でもやっぱり、自然からうまれでる美しさと温もりには、敵わないなぁと再確認。
いつか、この目で必ず。
そう思うのもやはり、先祖代々続く遺伝子の記憶が、そう思わせてくれるのかも、しれません。