グリーンランドから冒険が始まる　ー映画『Life!』ー

映画を見て旅に出たくなったことありませんか？　憧れの大都会、逃避行したくなるようなリゾート地、大自然に囲まれた山など、映画の舞台はとても素敵に描かれていて、知らなかった国や地域を知ることも多くあります。
映画『Life!』も、そんなひとつ。大自然から秘境の地まで、映画を観ながら主人公と旅をしている気分になるのはもちろん、見終わった後にはきっと、旅をしたい！　と思うはず。

旅に出る理由

主人公ウォルターは、歴史ある雑誌社の有名雑誌「ライフ」の写真ネガ管理担当者。
地味な仕事をコツコツと地下の暗室でやっています。性格も地味で、社内に気になる女性がいるものの、何のアクションも起こせないでいます。ですが、彼には妄想癖があり、現実では地味な彼が、妄想の中では、スーパーヒーローになったり、気になる女性にもカッコよくアプローチ出来たりします。
そんな冴えない彼ですが、Life誌の大物カメラマン、ショーンからはその真面目な仕事ぶりを認められて、絶大な信頼を得ているのです。しかし、歴史ある雑誌社にもIT化の波は押し寄せ、雑誌のデジタル化により、ウォルターはリストラ対象者に。
いよいよ、雑誌版「Life」の最終号の編集作業に入るにあたり、ショーンから写真が送られてきます。ただ、ショーンが史上最高の写真といって表紙に使うように指定したネガがどうしても見つかりません。
探したくても、世界中を飛び回る彼を見つけることは難しく、色々と悩む彼ですが、ついに最後の「Life」誌の最後の仕事のけじめをつけるために、ウォルターはショーンと、最後の写真を探す旅に出ることを決意します。

グリーンランドから始まる冒険ストーリー

ショーンを探して出た旅先は、グリーンランド、アイスランド、そしてヒマラヤ（アフガニスタン）。
その大自然と、大自然の中ショーン探しに奮闘するウォルターが描かれています。
グリーンランドでは、ショーンに出会える可能性を信じて、酔っ払いの運転するヘリに飛び乗り、さらにはそのヘリから荒波の中、あやまって海中へ投げ出されてしまいます。もうそれだけでも、今までのウォルターからは考えられませんが、その海にいたサメと格闘するシーンは、ウォルターの妄想がそのまま現実になったかのような、冒険シーンでした。
グリーンランドからスタートした旅でウォルターは、ついに妄想の世界から自分を解き放ち、現実世界でも精神的な自由を獲得していくのでした。
また、アイスランドを自転車で駆け巡るシーンがありますが、この風景の美しいことと言ったら……！　そして、ウォルター唯一の特技、スケートボードで大自然の中の道路を滑走していく姿はその風景が素敵で、自分もこの景色の中に行って見たい！　という気持ちを抑えきれないほどに。
ショーンには寸前のところで、会えないわけですが、諦めきれずにヒマラヤの山へと彼を追い続けます。

そしてついに二人は出会います。ショーンの仕事ぶりを生で見て、その真摯な姿勢に感動し、お互いの心を通い合わせます。そこで、幻の動物、ユキヒョウを二人で見るわけですが、ショーンは写真を撮ろうとしません。
そこでショーンが言った、「本当に美しいものは、写真を撮ることも忘れてしまう」というメッセージには本当に心を打たれます。
そして、ネガが見つかるまでは、まだまだ色々とあるのですが、是非映画を見ることをオススメします！

“人生”の目的とは

この映画の中では、旅の中での美しい風景はもちろん、ウォルターが成長していく姿に感動します。
ぱっとしないサラリーマンだったウォルターが、みるみるかっこよくなっていき、妄想ではなく大冒険が現実となっていくストーリーは「仕事、恋愛、家族」にとどまらず、アクションや大自然に音楽や写真と素敵なシーンであふれています。
そして、人はいつからでも変わることが出来るというメッセージ。映画の中盤でウォルターがショーンを探しに行くことを決意するシーンに、この映画の肝となるメッセージが流れます。

To see the world, (世界を観よう)
things dangerous to come to, (危険でも立ち向かおう)
to see behind walls, (壁の裏側をのぞこう)
to draw closer, (もっと近づこう)
to find each other (お互いを知ろう)
and to feel. (そして感じよう)
That is the purpose of life.(それが“人生”の目的だから)

旅に出てみようかな、人生、まだまだ変われるんじゃないかな、と自分の背中を押されるような映画でした。
この映画の主人公ウォルターのように、グリーンランドから旅をはじめて見るのも面白いかもしれませんね！