日本では普段決して見ることの出来ないオーロラ。
生きているうちに、必ず1度はグリーンランドのオーロラを見たいと願わずにはいられません。
言葉では表しきれないほどの美しさ。
一度見た者は、死ぬまでその光景に恋をすると言われるほどです。
かつて人間は、夜の闇に舞う美しい存在を「なにか意味のあるもの」として捉えました。
オーロラを見ることが出来る土地では、必ずオーロラにまつわる伝説が存在します。
神秘的なものだったり、ユニークなものだったり。オーロラを通して、人間はたくさんのものを見てきたのでしょう。
今日は、オーロラにまつわるさまざまな伝説をご紹介します。
グリーンランドに伝わるオーロラの伝説は果たしてどんなものでしょうか。
神秘的なオーロラの写真とともにお楽しみください。
この世とあの世を結ぶ存在
古代イヌイットのオーロラ伝説は、死後の世界に関するものが多いのが特徴です。
この世を去った魂が天へ登っていくときに現れる、光に照らされた道だという言い伝えや、グリーンランドでは精霊たちがセイウチの頭蓋骨をボールとして使いサッカーを楽しんでいることでオーロラが発生すると信じられていた言い伝えも。
得体の知れない生き物として
オーロラを生命体として捉えていた文化も存在します。オーロラが大きくうねる時を「オーロラがブレイクする」と言うそうですが、「オーロラがブレイクするときは子供がさらわれる」と恐れられていたそう。実際に、以前はオーロラが近付いてさらわれないよう、ナイフを振りかざして身を守っていた文化も。
また、オーロラに向かって口笛を吹いたり白いハンカチを振ったり、唾をはきかけたりするとオーロラの形が変わると信じている人達もいました。
不吉の兆候
オーロラが珍しい地域では、災害や戦争、政治の大変革などの不吉な出来事の前兆であると考えられていました。
例えばドイツでは、ヒトラーがポーランドを侵攻する前夜、真っ赤なオーロラが空を覆い尽くしたと言われています。
その結果、ヒトラーの作戦は失敗に終わったという伝説も残っています。
フランスでは「天からの警告」、「空中での火事」と恐れられ、何千人もの村人がパリの教会へと足を運んだそう。
オーロラの名前の由来となる女神
オーロラの名前の由来は、ローマ神話に登場する、夜明けと希望をもたらす女神「アウローラ」からきていると言われています。
ちなみにこの女神「アウローラ」はギリシア神話の暁の女神エーオースと同一とみなされています。
女神エーオースは男性を次々虜にする恋多き女神。人々を魅了してやまないオーロラの語源となったのも偶然ではないかもしれませんね。
現代では、オーロラが発生するしくみが解明され、安心してその美しさのみを楽しむことができますが、
あまりに美しすぎる神秘的な存在は、「この世のものではない何か」として考えられることが多くあったことが分かります。
磁場が生じるオーロラは、実際動物に影響を与えているのも事実。
人間がオーロラの美しさに心を揺さぶられるのも、もしかしたら磁場というものも関係しているのかも。
人を魅了し続けるオーロラ。いつかこの目で見たいものです。